FIORETTI BRERA

フィオレッティ・ブレラ
マルケ州 アンコーナ県 カステルフィダルド

『フィオレッティ・ブレラ』は、エマヌエラ・フィオレッティとパオロ・ブレラの二人によって、2008年に設立されました。マルケ州アンコーナの南、アドリア海から数キロに位置するカステルフィダルド。海風が吹き抜け、干し草やカモミールの香りが漂う、穏やかな田園風景の中に彼らのブドウ畑は広がっています。
約3ヘクタールの畑は、粘土質と石灰質を主体とする土壌に恵まれ、馬や黒鳥をはじめとする野生動物が共存する、豊かな生態系の一部となっています。彼らが大切にしているのは、ブドウを育てることだけではなく、その土地が本来持つ生命力を守り、自然との調和を育むこと。すべての畑で有機認証を取得し、緑肥やミミズの腐植土、堆肥などの有機肥料を用いて土壌を育みながら、現在ではビオディナミの原則も取り入れています。収量を意図的に抑えることで、ブドウの質を大切にし、醸造では亜硫酸塩の使用も必要最小限に抑えています。年間生産量は約10,000本。一つひとつの畑と丁寧に向き合う、小規模な造り手です。 「海洋堆積物が多いこの地域では、化石や石灰岩を含む粘土質の土壌が広がっています。海から吹く風が昼夜の寒暖差を生み、ブドウの芳香を育む大切な要素になっているのです」とパオロは語ります。海と大地が織りなすこの土地の環境を理解し、その恵みを生かすこと。それが、彼らのワインづくりの根底にあります。
そして2015年、彼らはマルケ州に古くから伝わり、現在では栽培する生産者も限られる希少な土着品種、ガロファナータの栽培に着手しました。一度は忘れられかけた土地の記憶を掘り起こし、その個性を未来へとつないでいく。この挑戦には、地域のブドウ文化と生物多様性を守りたいという思いが込められています。
醸造においても、セメントタンクやテラコッタのアンフォラ、木樽などをワインに応じて使い分け、野生酵母の力も生かしながら、ブドウと土地の個性に向き合います。
自然を支配するのではなく、その営みに耳を澄ませ、土地が長い時間をかけて育んできたものを次の世代へと受け継いでいく。フィオレッティ・ブレラのワインづくりには、マルケの風土への深い愛情と、自然とともに歩む揺るぎない信念が息づいています。

ARGHILOS 2023

アルギロス
品種
トレッビアーノ 40%
マルヴァジア 40%
ガロファナータ 20%
原産地呼称
IGT マルケ・ビアンコ
畑
カステルフィダルド。標高70m。樹齢10~35年。石灰の多いシルト質土壌。
収穫
厳選されたブドウのみを手摘みにて9月中旬に収穫
醸造
除梗後に20℃以下に管理されたセメントタンクで野生酵母にて発酵後、30日間マセラシオン。その後、アンフォラにて12ヵ月以上澱とともに熟成後、極少量の亜硫酸塩を使用し瓶詰め。その後ボトルで6ヵ月熟成。
生産本数
1,500本

ワイン名の「アルギロス」は、ギリシャ語で「粘土」を意味する言葉に由来します。その名が象徴するのは、ブドウを育む大地と、古くからワイン造りに用いられてきた土の器。土から生まれたブドウが、再び土の器の中で時を重ねる。アンフォラの穏やかな呼吸がワインに奥行きを与え、ブドウと土地が持つ個性を丁寧に引き出します。
深みのある黄金色。カリンや黄桃の豊かな香りに、ミントなどのハーブのニュアンスが重なります。口に含むと黄色い果実の風味が広がり、ピュアな旨味と生き生きとしたミネラル感が心地よく調和。果皮由来の個性を感じさせながらも、抽出は穏やかで、重たさのない軽やかな味わいに仕上がっています。魚介や野菜料理をはじめ、幅広い料理に寄り添うオレンジワインです。 Alc.12.5%

FAUSTI 2021

ファウスティ
品種
モンテプルチアーノ 100%
原産地呼称
DOC ロッソ・コーネロ
畑
カステルフィダルド。標高70m。樹齢10~35年。石灰の多いシルト質土壌。
収穫
厳選されたブドウのみを手摘みにて9月中旬に収穫
醸造
温度管理されたステンレスタンクとセメントタンクにて低温浸漬を行い15℃で発酵。その後、セメントタンクとバリックを併用し14ヵ月澱とともに熟成後、極少量の亜硫酸塩を使用し瓶詰め。その後ボトルで6ヵ月熟成。
生産本数
4,000本

ワイン名の「ファウスティ」は、造り手エマヌエラ・フィオレッティの父、ファウスティーノ・フィオレッティに捧げられています。貧しい家庭に生まれたファウスティーノは、強い意志と先見の明を持って機械・電子機器関連の会社を設立し、地域の産業発展に貢献しました。彼が購入した土地の一部には、現在フィオレッティ・ブレラのワイナリーが建つ農地も含まれています。
ワイナリーが正式に販売を始める前から、ファウスティは彼が日々の食卓で愛飲していたワインでした。2024年に他界した父への感謝と家族の深い絆、そして夢を信じ、実現へと歩んだ人生への敬意が、この一本に込められています。
紫がかった深いルビー色から、ブルーベリーを思わせる濃厚な黒系果実の香りが広がります。口に含むと、凝縮した果実味をきれいな酸が支え、豊かでありながら重たくなりすぎない絶妙なバランス。まろやかな口当たりと上品さを備え、スタンダードラインでありながら、造り手のこだわりと確かな完成度を感じさせます。
かつて父が愛した一本が、今度は誰かの食卓を彩る。グラスを囲むひとときに、夢を信じて歩んだ父の人生と、その想いを受け継ぐ家族の物語が静かに重なります。 Alc.14%